ある中国人女性スー・ユンは中国雲南省に住んでいました。そんなある日、スーは念願の家族旅行に出かけ思いがけない出会いをしました。その旅先で一家は新しい家族のメンバー、黒いフワフワの毛の一匹の犬に出会いました。
何かがおかしい
この犬を一目見た時からどうしても目が離せなかったのです。それぐらいスー一家はこの子犬に惹きつけられました。何だか普通の犬に出会った感じがしませんでした。この子犬と出会った時からスー家族は不思議な気持ちで、何かがおかしいと思っていました。
新しい家族
その犬はとても小さく、真っ黒で毛がフワフワしている可愛い子犬でした。スーはこの小さな子犬を一目見ただけで、あまりにも可愛すぎて心を奪われました。そしてスー一家はこの子犬を飼うことを決め即決しました。
罪のない過ち
スー一家は一瞬で心魅せられて、新しい家族に出会ったことをとてもうれしく思い、このつぶらな瞳の子犬を旅先から家へ連れて帰りました。スーたちが気に入った新しいこの子犬は、調べたところチベタン・マスティフと言う犬種だと聞いていました。子犬もとてもうれしそうでした。
リトルブラック
スー一家は、家に帰る道中でこのかわいい子犬をリトルブラックと名付けました。小さくてフワフワした真っ黒な毛の犬だったからそのままの名前になりました。小さい黒犬、リトルブラックです。こうしてスー一家とこの新しい子犬との共同生活が始まったのです。
運命
リトルブラックはスー一家にすぐに慣れました。元気で育ち盛りのリトルブラックはいつもお腹を空かしていました。スーはリトルブラックに食事を与えるのが一日の何よりも楽しみな行事となっていました。何でもおいしそうに食べるリトルブラックを見るだけでとても自分自身も幸せな気分になりました。
偶然
家族全員、リトルブラックをペットとして自分たちの家族の養子に迎えたことを心から嬉しく思っていました。リトルブラックも新しい環境にすっかり馴染みとてもなついていました。そしてリトルブラックとのこの出会いはどう考えても偶然だとは思えませんでした。
食欲旺盛
どんな時もお腹がすいていて、食欲旺盛なリトルブラックを見ていると、ついつい食べ物を与えてしまいました。ただ一つ願うことはリトルブラックが健康でチベタン・マスティフの成犬として育ってくれることを願ってのことでした。リトルブラックはどんどん食べてすくすく大きく育っていました。
成長
一か月が過ぎたころ、リトルブラックは毎日食べ続け、あっという間にリトルブラックの体重は驚くほどに増えていました。スーはリトルブラックがどのような立派な成犬に育つのか楽しみでなりませんでした。
おかしな点
こんなに食べる犬は見たことがない、どうしてこんなにいつもお腹が空いているのだろう?このまま食べ続けたらら一体どこまで成長するんだろう?といった疑問がスーの頭をよぎりました。本当に良く食べて順調に大きく育っているリトルブラックですが、スー一家には少し疑問点がありました。リトルブラックのお食欲が異常に旺盛だったのです。
驚き
ある日、リトルブラックは一家全員がとても驚いたある行動をとったのです。その行動を見たとき、一家全員開いた驚きで空いた口がふさがりませんでした。自分たちが見ている光景に目を疑いました。何とリトルブラックが二本足で立っていたのです!スーは今まで二本足で立つ犬なんて見たことがありませんでした。
チベティアンマスティフ
もしかするとチベティアンマスティフという犬種は二本足で立てる犬なのかもしれない。スー一家はあえてこの犬のこれらの奇妙な点をあまり気にしないでおこうと努め、心配するのをやめ現実から目を背けていました。ペットである犬も家族全員にすごく懐き、スーたちも愛情をたっぷり注いで犬の世話をし続けました。
恐怖
しかし実は家族全員リトルブラックは普通の犬ではないのかも知れないと疑惑を抱きながら生活していていました。元気でよく食べる健康な可愛い黒い子犬だと思っていたのですが、だんだんリトルブラックを見ると恐怖感を感じるようになっていったのです。
奇妙な事
吠えるというより叫ぶような鳴き声をしていました。まるで犬ではない、他の動物のような鳴き声でした。他にもリトルブラックに関して奇妙なことがありました。リトルブラックはいきなり犬とは言えないような鳴き声をあげていました。
決定的な心配事
そして更に決定的な心配事が起こってしまいました。食欲旺盛なお陰で、急速なペースで増えたのはリトルブラックの身長と体重だけではなく、リトルブラックの歯もとても大きくなったのです。特に前歯である牙は急速にとても長くなり、どう見ても犬の歯の状態には見えませんでした。
どうすればいい
もうすでにスー自身もリトルブラックに近寄って、触ったり撫でたりすることが出来なくなっていました。スー一家は、リトルブラックがお腹を空かせていたり、怒ったりして自分たちや誰かを襲い、噛んだりすることがあるのではと心配せずにはいられませんでした。
スー一家が取った行動
スー一家はやむを得ず、動物愛護公安局に通報したのでした。公安局が来た時、一家は局員に色々質問されましたが、そしてその質問にすべて正直に答えたのでした。公安局はスー一家が真実を述べていると判断してくれて、スー一家の話を基に必要な手続きを取ることに決定したのでした。
本当の姿
スー一家には公安局から本当にショックな真相を聞かされました。実はリトルブラックは犬ではなくツキノワグマだということが判明したのです!獣医はプロなので、一目見て、マスティフという犬ではないと即座に判断しました。
メディア
スー一家とリトルブラックの話は世界中ですぐに有名になてしまいました。すると世界的に有名なドキュメンタリー番組や、ナショナル・ジオグラフィックがスー一家の話を番組で取り上げることになりました。そして世界中にこのスー一家とリトルブラックの物語を報道したのでした。
インタビュー
インタビューで、混乱した面持ちでスーは話しました。「リトルブラックが家に来た時、とてもかわいいチベタン・マスティフだともちろん思っていました。でも育っていくうちに段々と犬よりもクマのような特徴がたくさん表れてきたのです。元々クマだと知っていたらもちろん引き取っていないわ。だってクマなんて怖いですもの。」
ツキノワグマ
ツキノワグマはとてもサイズが大きいことととても強いな生命力で知られています。皆さんはツキノワグマのことを知っていますか?ツキノワグマは別名アジアクロクマ、ムーンベア、ヒマラヤグマなどとも呼ばれていて、ヒマラヤ山脈付近や南アジアなどで生存しています。
絶滅種
スー一家は野生動物を飼うにあたって、許可が必要だという事を知りませんでした。その反面、ツキノワグマの胆汁は薬用として利用できるため、たくさんのツキノワグマが密漁など多く、人間によって捕獲、殺害されているのです。今や絶滅の危機に瀕している非常に珍しい動物だったのです。
恐れ
それを聞いてスーは恐れるほど成長したリトルブラックについて納得したのでした。リトルブラックはどんどん大きくなって、もはや犬のサイズではなくなってきたこと、サイズが大きすぎてリトルブラックの近くに行って撫でるのにも恐怖心さえ感じたことなどを思い出しました。
悲しみ
スーは公安局が言ったことに対して、ある種の安堵感と同時に悲しくもなりました。もうリトルブラックに触ることも出来なくなってしまったのです。2年間も犬と信じて家族として育て上げ、クマと分かった時にはすでに成長しきっていたなんて!
公安局
公安局がリトルブラックを見た瞬間、その異常さを一瞬で察知し犬ではないことは分かりました。そしてまず初めに獣医検診をしました。その結果、リトルブラックは身長110センチ、体重200キロと記録されたのです。そしてスー一家の元で、リトルブラックは子熊から成熊まで育てられたことも判明されました。200キロの犬はそういないですもの・・・